勝手に動き回って掃除してくれるロボット掃除機の種類が増えてきているようですが、なぜあんな動きができるのでしょうか?
人工知能を搭載しているため、自分で状況を判断して、最適な動きで部屋の隅々まで掃除してくれるのです。(人工知能(Al):Artificial Intelligence)
人の手を借りず自動で部屋中を掃除してくれるロボット掃除機。2002年にアイロボットの「ルンバ」が登場したとき、これでもう掃除をしなくていいと思った人も多いのでは。人に代わって掃除をしてくれるロボット掃除機はどんな仕組みなのでしょう。
センサーで情報を収集、自ら動きを判断

「ルンバ」の800シリーズは「高速応答プロセスiAdapt®」といって、数十のセンサーで部屋の情報を詳しく収集し、毎秒60回以上状況を判断して40以上の行動バターンから最適な動作を選択して実行します。900シリーズでは「iAdapt®2.0ビジュアルローカリゼーション」という技術により、搭載されたカメラと各種センサーでフロア全体をナビゲーションし、自分が今どこにいるのか、部屋のどこがまだ清掃されていないのかを高精度に判断して掃除します。

バナソニックの「RULO」は、赤外線センサーと超音波センサーを搭載。「ハウスダスト発見センサー」が約20µmの微細なゴミまでしっかり検知し、ゴミの量を見分けるほか、「床面検知センサー」で床面を見分け、走行やバワー、ブラシ回転数を自動制御します。特徴は三角形の形状で、角が部屋の隅に入り込み、本体を左右に動かしながらサイドブラシでしっかりゴミをかき出します。
どちらもセンサーで壁や家具などの障害物を検知したら速度を落として強い衝撃を回避したり、階段などからの落下を防いだり、掃除が終わると自分で充電ポートに戻ります。
人工知能が可能にしたロボット掃除機の動き

ロポット掃除機の動きを可能にしているのが人工知能(AI)です。掃除をしている間中、Alが状況を分析、判断し、掃除行動を最適化しているのです。
AIとは、人間の言語を理解したり、論理的な推論を行ったり、経験から学習したりするコンピュータプログラムなどのこと。そのレベルもいろいろあって、温度の変化に応じて運転を制御するエアコンや冷蔵庫などの機能もAIですが、ロボット掃除機のAIは特定のルールに則って多彩な動きや判断ができます。バソコンなどの検索エンジンなどは、ある程度の数のサンプルから自動的にそのパターンとルールを学び、推察して最も良いと思われるものを選ぶことができるAIです。今注目されているのは「ディープ・ラーニング(深層学習)」というシステムで、AI自ら学習し、認識率や判断力が成長を続けるのだといいます。
家電への対応が進むAI "話せる"家電の時代へ

家電へのAIの応用が進んでいて、ヒトが話しかけることで家電を操作できる"話せる"製品も登場しています。シャープのロボット掃除機「COCOROBO」には人工知能「ココロエンジン」が搭載されて、音声操作だけでなくおしゃべりしたり、会話したりできます。スチームオーブンレンジ「ヘルシオ」の高機能機種では、使いたい食材や料理のジャンル、あるいは「サッと作れるメニュー」や「週末なに作ろう?」など、話しかけるとそれに合ったメニューを提案してくれます。冷蔵庫や洗濯機などにもココロエンジンが搭載されています。
家電へのAI搭載がどんどん進んで、家電と対話することで家中の家電が最適化され、快適に暮らせる――そんな日が来るのも夢ではないかもしれません。
広報紙「MiRaI」Vol.55 2017 夏号 より転載