キッチンをリフォームするのですが、IHクッキングヒーターにしようか迷っています。IHのメリットや、使い方などを教えてください。
高い熱効率で調理時間を短縮できたり、燃焼ガスが発生しないので部屋の空気を汚さない、お手入れが簡単など、いろいろなメリットがあり、利用者の満足度も高くなっています。

11月1日は「IHクッキングヒーターの日」というのをご存じですか。火を使わない加熱方式で、「安全」「クリーン」「便利」な工夫がなされたIHクッキングヒーター(以下、IH)。新築やリフォーム時のIH導入が進んでおり、IHを使用している方の90%が「満足」しているという調査もあり、さらなる普及が期待されています。
IHとは「電磁誘導加熱」のこと

IHは、「Induction Heating」の頭文字で、「電磁誘導加熱」という意味です。火で加熱するのではなく、クッキングヒーターの内部にあるコイルに電気を流して磁力線を発生させ、トッププレートの上の鍋やフライパンの底にうず状の電流を発生させることで、鍋やフライパン自体をヒーターのように発熱させるのがIHです。
火を使わないのに高火力

IHはエネルギーの伝達ロスが極めて少なく、熱効率はなんと約90%(最新のガスコンロは56%程度)で高火力を実現。そのため、手早く調理ができ、時間短縮できます。
発熱ロスを熱気として出さないので、夏場でもキッチン環境は快適です。窓を開けて調理しても、風で炎が消える心配もありません。また、燃焼ガスが発生しないので換気量を減らすことができ、暖房の省エネにつながるほか、着衣への燃え移りの心配もないので、高齢者にも安心です。
使い方次第で節電も
標準的な4人家族の世帯で、標準的なメニューの朝・昼・夕食づくりにIHを使用した場合、1ヵ月の電気代は約1,020円(税込)とされます。IHの定格消費電力は最大で5800Wですが、弱~中火で煮込み調理する際の消費電力は500W前後。IHは火力コントロールが優れているので、必要以上に火力を上げずに調理すれば節電につながります。
ほかにも、タイマー機能を使えば、切り忘れや加熱しすぎを防ぐことができ、落としぶたや圧力鍋を使い加熱エネルギーを抑えると省エネにつながります。

また、使用する鍋は加熱効率の良いSG-IH、SGCH-IHマークの付いたものがおすすめです。土鍋や耐熱ガラス、アルミ、銅製の鍋は使えませんが、3口IHのうち1日または2口がオールメタルIHとなっているものは、アルミや銅の鍋も使えます。

注意すべき点
- IHを使用するには、200Vの電気工事が必要
- ガス機器(ガスコンロ、ガスオーブン)と電気機器(IHクッキングヒーター、電気オーブン)の組み合わせはできない
- なべ底が反ったり変形した場合は使用しない
- 揚げ物、炒め物、焼き物時は、本体のそばから決して離れない
- 揚げ物ではメーカー指定の油量を守る
- 液体を加熱するときは、加熱前、加熱中によくかき混ぜる
画像出典:一般社団法人日本電気工業会 IHクッキングヒーター専門委員会
広報紙「MiRaI」Vol.76 2022 秋号 より転載