床暖房で部屋全体を暖かくすることはできるの?
部屋の機密性や断熱性が高ければ、床暖房だけでも部屋全体を暖めることができます。
オール電化住宅が注目を浴びる中、床暖房もずいぶんと普及してきました。床暖房には、大きく分けてヒータ式と温水式があります。どちらも床面積の60%以上にヒータを施設すれば部屋全体を暖めることができます。

エアコンやファンヒータが温風の対流で部屋を暖めるのに対し、床暖房は床の熱がじかに伝わる伝道熱と輻射熱の相乗効果で部屋を暖めます。輻射熱とは熱線が物体に当たって熱となるもので、人体はもちろん、壁や天井、家具などにも吸収され、その熱が再び放射され室内の空気を暖めます。よく「日だまりのような暖かさ」といいますが、輻射熱には太陽からの遠赤外線と同じ効果があるのです。遠赤外線が皮膚の温点を刺激して暖めるので、血液循環が良くなり、低めの室温でも体の芯からポカポカと暖まります。エアコンでは暖かい空気が上のほうにたまり足元はひんやりということがありますが、床暖房は床面から暖かく温度のムラも少ない、理想的な頭寒足熱の暖房です。

床温の快適温度は25~30℃で、急速に室温を上げることはできませんが、初めにエアコンで室温を上げてから床暖房を使うと、部屋の暖まりも早くランニングコストを抑えることもできます。また、床暖房は燃焼ガスを出さないのでCO2の発生がなく、風を起こさないので室内のホコリを巻き上げることもないため、部屋の空気をクリーンに保つことができます。カビやダニ、結露を防ぎ、空気も乾燥しにくいため、肌やのどにも優しい健康的な暖房といえます。コスト的にも、温水式の場合は給湯器と一体型のヒートポンプ式なら、深夜電力を利用するため経済的です。また、ヒータ式の場合も、深夜電力を床下の蓄熱材に蓄えて、昼間にその放熱で部屋を暖める蓄熱式なら24時間暖房など長時間暖房も低いランニングコストで実現できます。もちろん住居の断熱性を高くすることが前提です。
選べるシステム床暖房いろいろ
床暖房には、ヒータ式や温水式というだけでなく、さまざまなタイプがあります。それぞれの特徴を知って、目的にあったタイプを選びましょう。
ヒータ式
設置工事が比較的容易で、導入費用もリーズナブル。使用時間が短い場合向き。
- 単体設置型…床下にヒータを設置。種類が豊富で、設置もしやすい。
- 蓄熱式…安価な深夜電力を蓄熱材に蓄え、昼間に放出。
温水式
ヒートポンプを利用して温水を作るため、ランニングコストはエコノミー。24時間暖房など長時間の使用向き。
- 単体設置型…ヒートポンプを利用するため省エネ&光熱費がお得。
- 給湯器一体型…深夜電力利用のエコキュートのお湯を使うから経済的。
- エアコン連動型…1台の室外機でエアコンと床暖房を運転。スピーディーに暖房。
広報紙「MiRaI」Vol.17 2008 新年号 より転載