適正にリサイクルされていることを確認できないためと、トラブルの原因になることもあるためです。
いらなくなった家電、壊れた家電を無料で回収するというテープをスピーカから流しながら、回収業者のトラックが住宅街などをよく走っているのを目にしますが、このような業者には違法なものが多く、環境省ではこうした業者に依頼せず、適正な方法でリサイクルするよう呼びかけています。
■違法な業者は巡回トラックだけではありません
トラックで巡回している業者だけでなく、ポストにチラシを入れている業者や、空き地で不用品を回収する業者などは、無許可で廃棄物回収をしているものがほとんどといわれます。
家庭からの廃棄物を回収するには「一般家庭廃棄物収集運搬業許可」が必要です。この許可がないのに、古物商や産業廃棄物処理の許可番号を提示し、正規の業者を装っている違法業者もいます。こうした業者の中には、無料といいながら高額な料金を請求する者もいて、トラブルになっています。
■不適正な廃棄物処理が問題に
違法業者を利用してはいけない第1の理由は、回収された家電製品が適正にリサイクルされているかどうか確認できないことです。フロンや鉛、ヒ素などの有害物質を含む家電製品は適切にリサイクルする必要があり、処理方法が法令で定められていますが、違法業者の多くはこうした処理をせず廃家電を破砕・圧縮するため、有害物質が放出されて環境汚染を引き起こします。
また、廃家電は海外に輸出されることが多く、輸出先で環境汚染や健康被害を引き起こしている例もあり、輸出中の船の中で発火・炎上する事件も起こっています。
■正しい方法でリサイクル
エアコン、テレビ、洗濯機・衣類乾燥機、冷蔵庫・冷凍庫の家電4品目は、家電リサイクル法により所定の料金を利用者側が負担し、家電小売店が回収、メーカがリサイクルすることが義務づけられています。
これには、購入した電器店または買い替える電器店で家電リサイクル券を購入して引き取りを依頼する方法や、郵便局窓口で家電リサイクル券を購入し、自分で指定引き取り場所まで持ち込む方法などがあります。
■2013年4月1日にスタートした「小型家電リサイクル法」
「小型家電リサイクル法」は「家電リサイクル法」とどう違うのでしょう。その違いをまとめました。
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家電リサイクル法 |
小型家電リサイクル法 |
対象品目 |
テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・乾燥機の家電4品目 |
特定対象品目 ※1 (具体的な回収・リサイクルする品目は市町村ごとに決定) |
使用済み家電の回収方法 |
家電販売店(小売業者)が消費者から回収し、製造メーカがリサイクル |
市区町村ごとに定められ、回収ボックスやコンテナなどを設置して回収 ※2 |
再資源化の実施 |
製造メーカ |
認定事業者など (確実・適切なリサイクルの実施について国が認定した事業者) |
消費者の費用負担 |
対象品目によって、数千円程度を負担 +運搬料金 |
市区町村によって異なる(品目によっては手数料がかかる場合がある) |
- ※1 特定対象品[一部]/携帯電話・PHS端末、パソコン(ディスプレイを含む)、タブレット端末、電話機、ファクス、ラジオ、カメラ、映像用機器、音響機器、補助記憶装置、電子辞書、電卓、電子血圧計・体温計、理美容機器、懐中電灯、時計など多数
- ※2 家電量販店(小売業者)も回収に協力